冷酷少女の複雑な恋模様

 それに珠洲島君とだから絶対楽しくなるよね。

 私はそんなわくわく気分で家までの道のりを歩く。

「あれ、風音さんなんだかご機嫌だね。」

 そうやって珠洲島君に聞かれてはっと我に返る。

「そ、そうかな……。」

「うん。凄く嬉しそうに見えたよ。」

 ……わ、私楽しみすぎて何やってるんだろう。

 急に顔がかあっと熱くなって両手で隠した。

「風音さん?」

 私が立ち止まったせいで珠洲島君も立ち止まる。

「う、ううん。なんだか浮かれてたのが恥ずかしくなって……。」

 正直な気持ちを述べると、珠洲島君はふっと微笑んだ。

「ふふっ、そんなに楽しみなの?」

 う……凄く凄く楽しみなんだけど、そんなことで浮かれている自分に恥ずかしくなってしまった。

 子供みたいだって、思われたよね。絶対。

 あんまりはしゃぎすぎないようにしよう。

 私は心にそう誓って再び歩き出した。