冷酷少女の複雑な恋模様

 珠洲島君は大丈夫なのかな……。

 そう頭の片隅で思って、はっと気づく。

「いっちゃん、授業出ないといけないんじゃ……!」

 何でこんなところで呑気にしてるの……!

 いっちゃんは「あー、大丈夫大丈夫。先生には言ってあるから。」と返された。

 そ、そういう問題じゃない気がするけど……。

「それよりも……。」

 いっちゃんは真剣な眼差しで私を捉えて、口を動かした。

「澪ちゃん、大丈夫だったの!?女子たちに呼び出されたんだよね!?」

 いっちゃんからそんなことを聞かされてこっちが驚く。

 ……いっちゃん、何処で聞いたの。そんなこと。

 あの場にいたのは少ない人数だったから、情報が洩れるなんてことないと思うんだけど……。

 そう思ったけど、いっちゃんの人付き合いのことを考えて納得する。

 あー……そうだ。この子、人付き合いとか多いから別に知っててもおかしくないよね。

 一人でうんうんと頷いて、いっちゃんに笑顔で返す。

「うん。大丈夫だったよ。」

 大丈夫、だったんだけど……いっちゃんにあの事は言っていいのかな。