彼の瞼は、私と同様に重たそうで今にも寝ちゃいそうな感じだ。

 でも……どうして起こしてくれたんだろう?

 不意に浮かんだ疑問は彼のある部分を見て分かった。

 彼が来ている大きいカーディガンのポケットについている”図書委員”のプレート。

 それに何気なくちらりと見た時計がこの重大さを物語っていた。

 ……もうそろそろ校門閉まっちゃう!?

 ただいまの時間、六時十分前。

 校門は六時に閉まるから……急いで行かなきゃ間に合わない。

 だから起こしてくれたんだ……。

 腑に落ちた気分になってほっとする。

 ……じゃなくて、もう帰らなきゃ!

 私は椅子から慌てて立ち上がり、目の前の彼に一礼した。

「お、起こしてくださってありがとうございます!ご迷惑かけてすみませんでした!」