冷酷少女の複雑な恋模様

 私のせいで珠洲島君の成績が下がるのは嫌、という気持ちを込めて言ってみると見事に言葉を被せてきた。

「いや、こんな風音さんを一人にさせるなんてできない。……もう少しだけ、傍にいさせて?」

 懇願するようにそう言ってくる珠洲島君。

 こんな私って……どれだけ心配されているんだろうか。

 でも……私の為って言われた気がして、嬉しくなった。

「……分かった。」

 思案の末、私はその懇願を承諾し首を縦に振った。

 珠洲島君は小さくお礼を言って、私の隣に腰掛ける。

 なんだか気まずい雰囲気が流れてる中、珠洲島君が口を開いた。

「ねぇ、風音さん。」

 不意に名前を呼ばれ、首を傾げる。

 何だろう、と思った私に聞こえた言葉はここ最近のことだった。

 珠洲島君の話によると、やっぱり最近私のことを避けてた……と言うよりは距離を取ってたみたいだった。

 そこまではある程度予想できたんだけど……次の言葉で私は衝撃を受けた。

「俺と一緒にいるせいで、風音さんのことを傷つけたくなかったんだ。」