2度目の人生で世界を救おうとする話。後編





正直、能力者社会で生きてきた私からしたら普通に生きてきた姫巫女は違和感の塊だ。

常識や信念、いろいろなものが少しずつ違う。
でもきっと神様の言いたい違和感はそんなわかりきっているようなものではないのだろう。



『その違和感についてもう少しこちらで調べておきます。紅は現状維持こそが最適なので、どうぞ現状維持に最善を尽くしてください』

『わかった』



「おーい!紅!」



神様と頭の中で会話を続けていると誰かがコンコンと扉をノックした。
この声は武だ。



『では私はこれで。健闘を祈ります』



神様の別れの声がする。
そんな神様に聞こえているのかわからないが、私も『神様もね』と答えると、次に扉の方に視線を向けた。



「どうぞ」



私にそう声をかけられて扉がキィと開く。
するとそこにはお菓子や飲み物をいっぱい抱えた武が立っていた。



「反省会するぞ!」



そして武は勢いよくそう言った。




*****




テーブルいっぱいに武が持参したお菓子と飲み物たちが並べられている。
それらをつまみながら私と武は今日の実戦大会の〝反省会〟をしていた。



「これはコイツの守りが甘いな」

「そうだけどこれが彼の全力だから仕方ないんじゃない?」



真剣な顔で私のでも武のでもない、誰かの実戦の映像を備え付けの大きなテレビに映し出し、武と意見を言い合う。

この実戦の映像は今日のもので武がデータにして持ってきたものだった。

てっきり守護者の実戦だけを見て反省会をするのかと思っていたが、どうやらそうではなく、今日の全ての実戦を見るつもりらしい。

この反省会が始まる前に武に全てを見る必要はないのでは、と言ったのだが、武からは「下を見て改善点を考えることは自分では気づかなかった、あるいは気づけなかった何かに気づくいい方法の一つだ。それから…」と長々と語り始めたので、もう武の激長反省会に付き合うことにした。

今夜は徹夜を覚悟した方がいいだろう。