「…」
急に来たね。
飛ばされながらも私は目の前に迫った蒼にとりあえず火を放つ。
蒼はそれを予想していたかのように簡単に避けて鋭い風を私の首に目掛けて放って来た。
首にあるチョーカーを破壊した方が勝ち。
これが実戦のルールだ。
「…」
ギリギリ避けれる。
そう判断した私は体を右に少しだけ倒して蒼の攻撃を避けた。
「やるね、紅」
「そっちこそ」
蒼と私、お互いに不敵に笑う。
そして休む間もなく、次の攻防が始まった。
私を捕えようと蒼の風が私の足元に集まる。
私はそれをサッと避けるが、避けた先でまた私の足元に風が現れた。
私が避ける先々に風が私の足元に集まり、絡まる。
回避しても回避しても風が止むことはない。
捕えようとしているのか、こちらの体力を削っているのか。
正直これを避けながら蒼のチョーカーを狙うことは可能だ。
蒼の狙いはおそらく、避けること、蒼のチョーカーを狙うことに集中している私の隙をつきたいのだろう。
確かに蒼の執着的な風を回避するのは簡単ではないが、今の私には難しいことではない。
でも勝ちたくない。
そこにもう価値を見出す私ではなくなった。
そもそも優勝さえしなければ、姫巫女からのキスを拒否する必要がなくなり、不仲説が消える。
だから守護者の威厳が守れるいいところで終わりにしたい。
…例え武が望まない形であったとしても。
「…よし」
心に気合を入れてボウッ!と大きな炎でまずは私の体を囲む。
こうすれば蒼からは私の姿が見えず、風で捉えようとすることはできなくなる。
ビュン!と強い風が私の炎を消そうとしたが、私の炎の方が強く、それは叶わなかった。



