武から離れて実戦会場に入る。
「紅との実戦かぁ。何か緊張しちゃうな」
実戦の会場内で私を待っていたのは余裕そうにふわりと笑う蒼だ。
「緊張?本当にしてる?」
そんな蒼に私はおかしそうに笑う。
緊張なんてしていないくせに相変わらず思ったことを口にしないところが蒼らしい。
とりあえず言ってみただけなんだろう。
「それでは!これより準決勝を始めたいと思います!始め!」
妙な空気で笑い合う私たちに審判が実戦開始の合図を出す。
こうして全校生徒、教師、そして姫巫女が見守る中、準決勝、蒼対私が始まった。
「蒼くん!紅ちゃん!2人とも頑張って!!!!」
姫巫女専用お姫様席から姫巫女の愛らしい応援が聞こえる。
蒼も私もそれを聞くだけで反応はせず、お互いを見つめ合っていた。
…無視をした訳ではない。
お互いに相手から少しでも目を逸らす行為がいかに危険かわかっての行動だ。
まぁ、私は普通に答えたくないって理由もあるけど。
「…」
さて。どうしようかな。
1度目の今頃の実戦大会で私は蒼と接戦をした記憶がある。
楽に勝てた記憶はない。
だが、しかし今の私の実力なら蒼が相手でも問題なく勝てるだろう。
「考え事?」
ふわりと柔らかい風が私の頬を撫でる。
蒼の能力だ。
その風はやがて私を囲み、勢いを増し始めた。
「こっちにおいで」
勢いのある風、それはもう嵐だ。
嵐は私の体を浮かせ、蒼の元まで乱暴に飛ばした。



