「琥珀くん、紅ちゃん。楽しんでる?」
この学校では聞くことのない可憐で愛らしい声が私たちに向けられる。
声の方へ視線を向ければ、そこには蒼に大切そうにエスコートされている姫巫女の姿があった。
「「はい」」
琥珀と私は一緒に姫巫女に一礼する。
「もう。2人とも何度も言うけど私たちの仲なんだからそんな堅苦しくなくていいんだよ?」
「いえ。俺たちはあくまでアナタの守護者ですから」
「琥珀くん…。そう言われると寂しいな…」
無表情な琥珀に寂しそうに笑っている姫巫女を琥珀と同じく私は無表情に見ていた。
蒼は変わらずニコニコしているが、その笑顔の裏で何を考えているのかはわからない。
「そうだ!2人におすすめのジュースあげるよ!ちょっと待っててね!蒼くん行こう!」
「はい。姫巫女様」
名案だとばかりに姫巫女は本当に楽しそうに笑っていて、そんな姫巫女に蒼はとても優しい笑顔で答えている。
姫巫女と蒼が微笑む姿はお姫様と王子様のようで、まるで絵本の1ページのようだった。
そして姫巫女は笑顔のまま蒼の腕を掴んで人混みの中に消えた。
嵐が去った。
「すごいね…」
「…だな」
琥珀から少しだけ疲れの色を感じる。
もしかして2度目の琥珀は姫巫女が苦手なのかな?
…いや、それは楽観的に考えすぎか。
いくらシナリオが1度目と変わっているからってそんなことはないはずだ。
1度目では私を除く守護者たちは皆、姫巫女に夢中だったはずだから。



