「この世界でこんなにも私を愛してくれる人がどこにいるの?」
ふわりと朱に優しく笑い、隣にいる朱の頬に優しく触れる。
「私と一緒に生きる為にずっと頑張ってきたんだよね、朱」
世界を滅ぼしてしまったり、私を監禁したり、やり方がおかしい時もあるけれど、それだけ朱は私のことを愛しているのだ。
そして私も朱を愛している。
最初は家族への愛なのか、異性への愛なのかわからなかったが、これはおそらく…。
「…愛しているよ、朱。私も朱と同じなんだよ」
「…っ。ねえ、さん」
私を見つめる朱の美しい瞳からホロリと涙が流れる。
その美しい涙はやがて朱の頬に触れる私の指先へと伝わり、私の指を濡らした。
「…これ、夢、かな。姉さんが僕と同じ?」
「現実だよ。愛しているよ、朱」
「…うん」
泣き続ける朱にもう一度気持ちを伝えれば、朱が嬉しそうに目を伏せ、笑う。
その姿があまりにも綺麗で私の心臓はまた大きく跳ねた。
泣いている美しい男の人ってこんなにも魅力的なのか。
それとも朱だから魅力的に感じるのか。
…きっと後者なのだろう。



