*****
四神屋敷で昼食を食べ終えた後、私は葉月家へと戻る為に校舎から出て、葉月家の車へと向かっていた。
私は一度葉月家から逃げ、姿を消した。
元々葉月の血を引かない私がそんな状況で葉月に戻れるはずもない。
そう思っていたが、そうではなかった。
姫巫女との対峙後、私の消息を知った父は私をすぐに迎えるように指示し、何と私を葉月へと連れ戻したのだ。
私としては別に葉月に戻らなくてもよかった。
葉月に戻らなくても生きていく術は十分にあったからだ。
だが、父は私が〝葉月〟以外へと行くことを許さず、半ば強制的に今の形に落ち着かせた。
ちなみに母は相変わらずの距離感で私と接している。
「姉さぁん!」
後ろから聞き慣れた愛らしい声が聞こえてきたので、私は足を止めて、後ろへと振り向く。
するとそこには初夏の日差しを浴びて、キラキラと輝く笑顔でこちらに駆け寄る朱の姿があった。
「僕も葉月に帰るから一緒に帰ろ!」
私のすぐ側まで来て天使のように愛らしく笑う朱の背は高校2年生になってぐっと伸びた。
前までは私と同じくらいだった目線も今では私より高い。
可愛らしい印象の強かった顔も最近はどことなく綺麗で大人っぽさが出始めている。
ここ半年で朱は随分変わった。
「うん。帰ろ、一緒に」
そんな少しだけ大人っぽくなった朱に私はいつものように笑顔で応えた。



