姫巫女が消えたことによって麟太郎様は元の麟太郎様に戻った。
姫巫女がいた時は盲目的に姫巫女を信用しており、どこか様子のおかしかった麟太郎様だが、今では以前と変わらず、冷静に能力者たちを束ねている立派な能力者界のトップだ。
「妖は確かに根本的に人間より遥かに強い者もいますが、弱いものだっています。人間だって能力の有無でそのような差が出ます。同じなんです。ですからもし妖側に〝強い〟からと規制をするのなら、強い人間もそのような対応をするべきではないでしょうか」
「なっ!こちらに規制をするだと!?何を考えいるんだ!」
「そうだ!それではもしもの時に身を守る術がないではないか!」
麟太郎様の意見に答えた瞬間、周りの上層部たちが口々に文句を言い始める。
…いつも最終的にはこれなのだ。
「それは妖側も全く同じです!」
だから私はいつものようにそんな頑固な大人たちに負けじと叫んだ。
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「…はぁ」
疲れた。
会議に使われていた、学校内にあるとある部屋から出た後、私は1人大きなため息をつく。
もう葉月家の次期当主ではなくなり、男として生きる必要もなくなったので、当然この学校からも私は退学している。
だからもうこの学校に来る機会も滅多にないと思っていたが、龍の要望通り、人間と共存する為の妖側の交渉人となっている私はそれはもう頻繁にこの学校へと通っていた。



