2度目の人生で世界を救おうとする話。後編






「私はここで今までのようにアナタを見守っていますよ。…ああ、泣かないで、紅」



いつの間にか泣いていたらしい私に神様が慰めるように微笑み、その涙を優しく拭う。
これで本当に最後なんだと思うと涙が止まらない。



「大丈夫。時には蝶となり、時には風となり、アナタにこっそり会いに行きます。ですから寂しくありませんよ。そしてアナタがその幸せな人生を全うした時、もう一度ここへアナタを呼びましょう。そこでたくさんアナタの幸せだった人生の話を聞かせてください」

「うん。絶対するよ。私の幸せだった人生の話を。だから私の話についていけるようにちゃんと私を見てて。たまには何でもいいから会いに来てね」

「もちろんです」



神様がゆっくりと頷くと同時にこの空間中に黄金の光が溢れ出す。
この光にも見覚えがあった。
きっと次に目覚める時には私はもうここにはいない。

光が強くなり始め、やがて、私の姿でさえも見えなくなってしまう。



「神様ー!ありがとう!本当にありがとう!私、神様のおかげで人生を諦めることをやめられた!きっと幸せになるよ!」



もう何も見えなくなってしまったが、それでもこれだけはどうしても神様に伝えたくて、私はその場で叫んだ。



『こちらこそ、ありがとう、紅。アナタがいたから世界は救われた。アナタとの3年間、私はずっと忘れませんよ』



頭に響く慣れ親しんだ神様の声。
その声を聞いて私は微笑んだ。


どうか、私を見守っていてね、神様。