「私はここで今までのようにアナタを見守っていますよ。…ああ、泣かないで、紅」
いつの間にか泣いていたらしい私に神様が慰めるように微笑み、その涙を優しく拭う。
これで本当に最後なんだと思うと涙が止まらない。
「大丈夫。時には蝶となり、時には風となり、アナタにこっそり会いに行きます。ですから寂しくありませんよ。そしてアナタがその幸せな人生を全うした時、もう一度ここへアナタを呼びましょう。そこでたくさんアナタの幸せだった人生の話を聞かせてください」
「うん。絶対するよ。私の幸せだった人生の話を。だから私の話についていけるようにちゃんと私を見てて。たまには何でもいいから会いに来てね」
「もちろんです」
神様がゆっくりと頷くと同時にこの空間中に黄金の光が溢れ出す。
この光にも見覚えがあった。
きっと次に目覚める時には私はもうここにはいない。
光が強くなり始め、やがて、私の姿でさえも見えなくなってしまう。
「神様ー!ありがとう!本当にありがとう!私、神様のおかげで人生を諦めることをやめられた!きっと幸せになるよ!」
もう何も見えなくなってしまったが、それでもこれだけはどうしても神様に伝えたくて、私はその場で叫んだ。
『こちらこそ、ありがとう、紅。アナタがいたから世界は救われた。アナタとの3年間、私はずっと忘れませんよ』
頭に響く慣れ親しんだ神様の声。
その声を聞いて私は微笑んだ。
どうか、私を見守っていてね、神様。



