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「兄さん!起きて!」



ぐらぐらと私の肩を掴んで揺らす朱によって最悪だった1度目の最期の夢から目を覚ます。

ゆっくりと瞼を開けると目の前には私を心配そうに見つめる、可愛らしい顔立ちで儚げな私の弟、朱の姿があった。

窓から部屋に差し込む朝日を受け、キラキラと輝くクリーム色の色素の薄いサラサラの朱の髪は、私とは全く違うもので、それが改めて私たちには血の繋がりはないのだとわからせる。

私の髪は黒色だ。こんなにも柔らかそうな色素の薄い髪ではない。



「おはよ、朱」

「おはよう、兄さん」



私を起こしてくれた朱に、いつものようにまだ眠たさを感じながらも上半身を起こして挨拶をすると、朱は愛おしそうに私に挨拶をして私を抱き締めてきた。



「?」



突然の朱のその行動に首を傾げながらも、とりあえず私はそれを受け入れて、さらに朱の背中に腕を回してみる。



「どうしたの?」

「…怖い夢見てたでしょ?だから僕が兄さんを癒しているの」

「…」



私の弟はエスパーなのだろうか。
とても真剣な声で私に答えた朱の言葉に私は驚いたが、その勘の鋭さにむしろ関心してしまった。

すごすぎる。

優しく朱に背中を撫でられると気持ちがいいし、先程まで見ていた悪夢を一瞬で忘れられてしまいそう。



「…」



何なら意識をもう一度飛ばして夢の中に…


チュッ


とろん、と今にも意識を失って寝てしまいそうになっていると目尻の辺りにとても柔らかい感触を感じた。



ん?