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意識を失った私が次に目を覚ました場所は見覚えしかない辺り一面真っ白な何もない空間だった。
私はそこに1人で横たわっていた。
「…」
状況を確認する為に、まずはその場から体を起こし、立ってみる。
それからこの辺り一面を見渡してみたが、やはりここには何もなかった。
上を見ても横を見ても何もないただただ白い空間に心当たりしかない。
ここはおそらく天国でも地獄でもない。
神様がいる場所、神様の領域である、神域だ。
…私、死んだ?
以前この空間に来た時は私が1度目に死んだ時だった。
つまり今もここにいるということはそういうことだ。
意識を失う前、私は確かに満身創痍だった。
だが、死ぬほどのものではなかったはずだ。
何がどうなっているんだ。
「おはようございます!紅!」
訳がわからず混乱していると、どこからか神様の声が聞こえてきた。
そして気がつけば、目の前にものすごく綺麗な男の人が立っていた。
床に着いてしまうほど長い絹のように白い髪に、優しい緑色の瞳。
一度見たら忘れられない精巧に作られた人形のような人。
およそ3年ぶりに見る神様はやはり人間離れしており、美しかった。
「…わ、私、死んだの?」
最初に神様と会った時と全く同じ状況に私は冷や汗を流す。
私が死んでしまっては全て意味のないものになってしまう。私だけは死んではいけなかったはずなのに。
「大丈夫ですよ、紅。アナタは死んでおりません。ただ私がここにアナタを呼んだだけです」
しかし神様は焦る私とは裏腹に私に優しく微笑みそう告げた。
神様の言葉に私からどっと力が抜ける。
よ、よかった…。
とりあえずは一安心だ。



