「もう一度言います。今の状況では彼女は…」
「もう、大丈夫です…」
念を押すように同じことを言おうとした私の言葉を辛そうに神が遮る。
それから覚悟を決めたようにまっすぐとこちらを見た。
「最期に私のやるべきことがわかりました。由衣の力を回収します。そして由衣を私の世界へと戻し、もう一度生き直してもらいます。今度こそ、自分の力で幸せになれるように」
「本当ですか!ありがとうございます!」
やっと聞けたいい返事に私は思わず笑顔になる。
「それでは早急にお願いします!」
そして私は覚悟を決めた表情を浮かべる神に次の行動を急かした。
私に急かされた神は「わかりました」とその場から立ち、私の方へと歩み寄ってくる。
それから右手を前へとかざした。
それにより、和と洋の入り混じったこの空間は形を変え、私の世界、紅たちの姿が見られる映像がこの空間いっぱいに広がった。



