2度目の人生で世界を救おうとする話。後編





私の世界でもう一度生を与えても、彼女の願いは叶わない。
彼女の願いを叶える為には、他の世界に彼女を転生させる必要がある。

イケメンたちがたくさんおり、彼女を愛し、彼女が中心になれる世界。

そんな彼女の願いを叶えられる世界を探す為に、たくさんある世界のシナリオを見てみる。
すると、彼女の好みに合いそうなシナリオを見つけた。

彼女の世界とあまり変わらない価値観で、能力という異能が存在する世界。
そこには妖がおり、200年に一度、大厄災という存在を姫巫女なる者が再封印をしなければならないらしい。
その為に姫巫女は能力者を育成する男子校に通い、守護者と呼ばれる男たちに守られる。

否応なしに能力者たちは特別な姫巫女を大切にし、そして姫巫女は世界を救う為に最も重要な存在へとなれる。


…これだ。
この世界こそ、彼女の願いを叶えられる。



「アナタを新たな世界へと転生させましょう。アナタは私の愛し子です。私はアナタが新たな世界で幸せになれるようにサポートします。必要な力も全て私が与えましょう」

「本当に!?ありがとう!神様!」



私の言葉に心底嬉しそうに笑う姫巫女に心の奥底が暖かくなる。
彼女のこの笑顔を私は見たかったのだ。

こうして私は彼女を自分の世界ではない、他の世界に転生させ、私の全てを使って特別な力を与えた。
禁じられた力まで使って。