…今の今まで、ただ死なないように必死だったから、空模様の変化までは気づかなかったな。
1度目と同じような状態で殺されそうになっているのに、私は呑気にそんなことを思った。
もう体が重い。
ここから4人の相手をできる気がしない。
蒼が1度目と同じように私を押さえつけながらも胸ポケットから短剣を取り出す。
私の心臓を貫いたあの短剣だ。
ああ、私はやっぱりここで死んでしまうのか。
私は短剣を握りしめる蒼を見て、自分の変えられなかった運命を悟った。
生気のない瞳で私をまっすぐ見下ろす、蒼の左手には短剣がある。
蒼はその左手を空高く上げ、私の心臓目掛けて思いっきり振り下ろした。
「紅っっっ!」
遠くから悲痛な声で私の名前を呼ぶ龍の声が聞こえる。
ごめん、龍。
私、また龍の前で死ぬみたい。2回も目の前で死ぬとかトラウマになるよね。
本当にごめん。
覚悟を決めてきつく目を瞑る。
そして1度目のあの時と同じように、蒼に心臓を貫かれることを私はただ待った。



