「ヒロインだからこの世界の全てが私のものなの。好きにしてもいいの。だから守護者のみんなも洗脳したの。私の言うことを聞けるようにって。大丈夫。世界が平和になったら洗脳を解いてあげるから。お前がいなくなった世界でなら正しい判断ができるはずだからね。私が好き…いや、私を愛しているって。…ねぇ、だからみんなお願い!紅ちゃんを倒して!」
つい先ほどまで邪悪な笑みを浮かべていた姫巫女がまたいつもの姫巫女に戻り、まるで正義のヒロインのように愛らしく、そして力強く叫ぶ。
それによって蒼、武だけではなく、龍が相手していた、琥珀、朱までも一斉にこちらへと攻撃をしてきた。
琥珀の稲妻が炎の壁をすり抜けて私に向かってくる。
それを避けた時に緩まった私の炎の壁を朱が自身の炎で相殺して消す。
その隙を見逃さないように飛んできた武の氷を何とかボウ!と私の炎で消すが、また生まれてしまった隙に今度は蒼が突風を発生させ、私を吹き飛ばした。
「…っ」
受け身を取る余裕もなく、そのまま地面へと体が叩きつけられる。
2人でも大変だったのに、それが4人になればさすがに対処しきれない。
目まぐるしく飛んでくる彼らの攻撃に私はもう反撃さえできなかった。
せめて少しでも時間を稼げれば龍が助けに来てくれるはず。ほんの数秒だけでいいはずだ。
そう思ったその時。
地面に倒れる私に風の速さを使って距離を詰めてきた蒼がそのまま馬乗りになってきた。
「…くっ、あおっいっっっ!」
何とか蒼を私から退けさせようとしたが、蒼が躊躇なく、先ほど貫かれた左肩を掴んだことによって、それができなくなる。
あまりの痛さに私から声にならない悲鳴が出た。
ギリギリと左肩の傷をピンポイントで強く蒼に掴まれて、耐え難い痛みが私を襲う。
前を見れば、私に馬乗りになった蒼がいる。
その後ろの空には雲が広がり、はらはらと雪が舞い落ちていた。



