おかしなものでも見るような目で姫巫女を見ていると、姫巫女は心外そうに大きなため息をついた。
「はぁ。まぁ、お前に言っても理解できないと思うけど一応教えてあげるね。ここはね、私が思い通りにしていい世界なの。私がヒロインの世界なの。そう神様が言っていたんだよ。私は選ばれた特別な人間なの」
今まで見てきた女神のような慈悲深い笑みを浮かべる姫巫女が嘘だったかのように、それはそれは邪悪な笑みを姫巫女が浮かべる。
楽しそうに細める瞳には悪意しかない。
「この世界のイケメンはぜーっんぶ私のもの。一番特別な存在の守護者たちももちろん私のもの。なのにみんな何故かお前が好きなの。おかしいよね。だからどうにか私を好きにさせようと思ったけどダメだった。蒼くんは私の王子様なのにお前しか見ていなかった。そんなヒロインの邪魔をする存在なんて消えないとダメでしょう?」
クスクスと笑う姫巫女に腹が立っていたはずが、あまりにもぶっ飛んでいるので、だんだんと恐怖を抱き始める。
あの向こう側にいる女は倫理観がはちゃめちゃすぎる。
性格が悪い所ではない。
「だからお前の存在を能力者界から消した!私が本気を出せばそのくらい余裕だった!それなのに!それでもみんなお前が好きだったの!翌る日も翌る日も私じゃなくて紅、紅、紅、紅!必死に探し回って、私を疎かにして!お前を嵌めようとしたからって、裏で敵視までして!こんなのヒロインじゃない!ヒロインが受けていい待遇じゃない!だからお前の存在をこの世界から消すことにしたの!そうすれば今度こそみんな私を好きになる!愛してくれる!私こそがこの世界のヒロインなんだから!」
あはははっ!と狂ったように笑う姫巫女の声がこの場に響く。
私はそんな姫巫女を見て思った。
神様、早く、姫巫女に介入している神様と話をつけてくれ、と。
私にはこの狂った女は手に負えない。



