「無差別に大勢を殺しているのはどっちよ?ここまで来るのに何人の妖を殺してきた訳?」
「…無差別?違うよ?妖だから退治したんだよ?」
「だから何で妖なら殺してもいいって思えるの?どちらにも命はあるんだよ?妖が絶対悪とは限らないんだよ?」
「悪だよ。今まで大勢の人間が妖に弄ばれ、殺されてきた。そう歴史にある妖が悪じゃない訳ないんだよ」
「それなら妖側だって同じことが言える。妖だって今までどれほど無差別に人間に殺されてきたか」
「殺す?違うよ?退治しているんだよ」
私が何を言っても姫巫女はおかしそうにただ私の言葉を訂正し、自分の正義を私に主張する。
自分の考えが正しいと信じて疑わないその姿に私はため息を漏らした。
…姫巫女って本当に自分の考えを曲げないタイプだよね。
私たちの会話を横で聞いていた龍は「あの女は殺していいんだろ?」と額に青筋を立てて言っていた。
…腹が立つ気持ちは痛いほどわかる。
「…やっぱり紅ちゃんは悪者になっちゃったんだ」
うるっとその大きな瞳を潤ませて、悲しそうに姫巫女がこちらを見つめる。
そんな姫巫女の様子に気づいた姫巫女の1番のお気に入りである蒼は姫巫女に近づくと、無言で姫巫女の瞳に溜まる涙を優しく拭った。
そして私はその光景を見て違和感を覚えた。
人形のようだと思っていた守護者たちだが、本当に人形のようなのだ。
瞳に生気がないだけではなく、喋りもしない。
ただただそこにいるだけの存在。
1度目の彼らはこんな様子ではなかった。
彼らに一体何が起きているのか。
「みんな、お願い。紅ちゃんがこれ以上を罪を重ねない為にも紅ちゃんを止めて」
姫巫女の涙の訴えにより、守護者たちが一斉にこちらへと攻撃を始める。
もう少し〝会話〟をして戦闘を避けたかったが、もう無理みたいだ。



