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あの会議の後、蒼たち次期当主が心配そうに私に声をかけようとしたが、それは朱によって遮られた。
「姉さんを連れて行きますので」
全員にそれだけ言って朱に強引に腕を引かれて乗せられたのは葉月家の車で。
私は今、朱と一緒におそらく葉月の家に向かっていた。
「…朱、さっきはありがとう」
私の隣に座る朱に先ほどのことについてお礼を言う。
別にあそこまで論破しなくてもよかったのだが、自分の嘘を全て見抜かれて項垂れる姫巫女を見るのはなかなか気持ちよかった。
まあ、そのお陰で能力者界追放は失敗に終わっちゃったけど。
「いいよ。当然のことをしたまでだから」
そう言って私を見ようともしない朱の表情はどこか暗い。何故朱はこんな浮かない表情をしているのだろうか。
あんなにも気持ちよく姫巫女を論破していたのに。
「それにしてもすごかったね。あんなハッタリあの場でよく言えたよ」
「…」
先ほどの朱のことを思い出して私は朱を褒める。
きっと朱は私のピンチを知り、咄嗟に対応してくれたのだろう。そしてまたまた見た映像に姫巫女の嘘があったのだ。
行動力もピカイチだが、それに運までつくとはさすが朱だ。
やはり次期当主を任せられる器だ。
「…ハッタリじゃないよ」
「え?」
「ちゃんと全部見たんだよ」
暗い表情まま小さくそう言った朱の言葉に私は固まる。
朱は今、何と言った?
ハッタリではない?ちゃんと全部見た?
私のピンチに気がついたのはいつ?
あの会議が始まって朱は数分で四神屋敷に来た。
そのたった数分の間にあの膨大な量の監視カメラの映像を見ることができるのか。
…いや普通に考えて無理だ。
じゃあ何故朱は全部見れたのか。



