side紅
海の特別外出から数週間。
もうすぐ夏休みが始まる。
「妖たちの現状は依然変わらない。強い妖の出現率が高くなり、こちら側の被害も例年とは比べものにならない」
四神屋敷での麟太郎様の指定席である1人掛けの椅子に麟太郎様が悠然と座っている。
そこで麟太郎様は真剣な表情で私たちを見つめ、現状の確認をしていた。
麟太郎様の横に用意されている椅子には姫巫女が不安げに、いつもの場所に座っている私たち守護者たちは麟太郎様と同じように真剣な表情で麟太郎様に視線を向けている。
「おそらく大厄災の力の影響だろうね。文献にもそう記されていたよ。大厄災の再封印は今年の冬だが、状況を見て早める必要もあるね」
「そうですね。早められた前例はあるのですか?」
麟太郎様に真剣に質問したのは蒼だ。
「数件だけね。全くない訳ではないけどとても少ない」
「では判断は慎重に下さなければなりませんね」
「ああ、その為にも引き続き情報提供を頼む」
私たちの間に重苦しい空気が流れる。
正直この時期の人間側はあまりよろしくない状況だ。
ただでさえ夏は忙しいのに妖の力は強く、簡単には退治できない。
人手不足もあり、切羽詰まっているのが現状だ。
私たち次期当主もそんなこともあり、とんでもない頻度で任務に駆り出されている。
よく見るとみんなどこか疲れの色が見える。
「それから由衣の護衛のことだが…」
麟太郎様がそう言って次の話題に入る。
次の話題は姫巫女の護衛のことらしい。
「もうすぐ夏休みだが、もちろん由衣の護衛は継続される。由衣は学校に残るからみんなも基本は残るように。帰省等する場合は順番にするように」
「「「「はい」」」」
麟太郎様の言葉に全員が気を引き締めて返事をする。
「…由衣のことよろしく頼んだよ」
そんな私たちに麟太郎様は真剣な表情でそう言った。



