ゆるふわな黒色メガネくんは魔法使い




そう思い彼女のところへ行こうとした時、ちょうど反対側の扉から朝日くんが入ってきた。



「あっ」



探していた人を見つけて、小さく声をあげてしまった。



「ちょうど戻ってきた。あたしが伝えてくるわね」



「ありがとう、史奈」



こういう時でも私は自分から行くことはできない。



私から彼に声をかける勇気はない。



だから、いつまで経ってもみんなの仲に馴染むことができないんだよね。



「すぐ呼んでくるから少しだけ待っててね」



1年生の女の子にそう声をかけると、安心したような顔をした。



でもわざわざ3年生の教室に来てまで、朝日くんに何の用なんだろう?



上級生の教室に来るってすごく勇気のいることだと思うのに。