二学期が始まった。


 いつも有明くんと登校してる一悟くんから、『今日から一緒に学校行かない?』とメッセージが来たときにちょっと違和感はあったんだけど……。


 学校に着くと、違和感どころではないことが起きていた。


「大丈夫……いつかは来ると思ってた……」

「夏休み、警戒してなかったわけじゃないけど急すぎる……」

「ツラい……」


 ゾンビのようなうめき声をあげながら、女の子達が至るところで落ち込んでいる。


 な、何事……?


「あっ、もしかして、まだ聞いてない?」


 一悟くんがハッとした様子で問いかけてきた。


 わたしは何もわからなくて、首を傾げるばかり。


 一悟くんは、この惨状の原因を知ってるんだ。


「えーっと……教室に行ってみたら、わかるかも」


 そうやって一悟くんが苦笑するので、言う通りに向かってみることにした。


 すると、


「おはよう一悟、羽入さん」


 爽やかな笑顔で、有明くんがわたし達を迎えてくれたのだった。


 隣には、席に座って顔を手で覆う木葉ちゃん。


「ううっ、も、もうやだ……っ」


 何かを小さく叫んでいる。


 あれ? この感じって……。


「付き合ったって、こと?」


「不本意ながらっ……」

「本意だ」


 木葉ちゃんと有明くん、二人から同時に返ってくる。


 有明くんはすでに木葉ちゃんの性格を熟知しているようで、彼女に顔を近付けてもう一度「本意だろう?」と語りかけていた。