夜になる頃には、「少女失踪事件」がニュースになってました。

そのニュースをネットで見ながら、その日はすごく疲れていて、早々にベッドに入りました。

翌日は登校しました。

ネットではお祭り騒ぎ。
ハヅキくんの時の犯人と同一人物じゃないかって盛り上がっていて、
警察も連続誘拐事件として捜査を始めたらしいですね。

私の失敗は、やっぱりリズちゃんを選んでしまったことです。

まったく捜査が進まなかったハヅキくんの事件が、リズちゃんが失踪したことによって大きく進展しそうになってました。

ハヅキくんの時よりも「犯人」の情報が多かったからです。

証言者はリズちゃんのお母さんです。
テレビでもお母さんの証言がリズちゃんの写真の下に字幕で流されてましたね。

「娘は最近、年上のお姉さんに遊んでもらっていると言っていた。初めは男の人みたいな女の人だったと。家には男の子も居た。家族かどうかは分からない。お姉さんは左利きで、娘は右利きだから珍しかった。」

リズちゃんは、お母さんに私のことをそう話したそうですね。

私ですか?
右利きです。

リズちゃんの前では演じてたんですよ。
左利きのフリ。
探偵物の話でよくあるじゃないですか。
あの痕跡は左利き特有だ!とかそういうの。

だから念の為、印象付けになるかなって思って。
思惑通りでした。

リズちゃんが偉かったのは私のことを「男の人みたいな女の人」って言ったことです。
初めて会った日の変装がまだ印象に残ってたのは偉かったです。
そのおかげで性別が特定出来なくて、ネットでも憶測が飛び交ってました。

でも、最低だったのはハヅキくんのことです。

「男の子が居た」

その一言で、本当に家族かもしれないのに、息子だろうとか、弟だろうとかは誰も思っていませんでした。
何故ならリズちゃんは、「はーくんって男の子」って言っちゃったから。