「―――連絡事項は以上だ。そんじゃ、また来週~」


2月の第1週目、金曜日。週一登校初日。


空気が緩みっぱなしの教室に、先生の気だるげな声が響き渡る。


瞬間、うずうずと我慢していたクラスメイト達は待ってましたと言わんばかりに次々と教室から飛び出していった。


久しぶりの学校だと言うのに、残り数少ない高校生活の余韻を味わう時間が華の高校生たちにはないらしい。


なんて他人事のように思う私は、単純にバイトをせず免許を取らずで自分のしたいことをして過ごしているだらけた女子高生ってだけなのだけど。


少数派であるゆったりと帰宅の準備をした生徒たちも帰っていく中で、私は窓際にある自分の席に座ったまま、まだ誰もいないグラウンドを眺める。


冷たい風だけが自由に走り回っているのが物寂しい。


『残り1か月だよ』


先週、自分が言った言葉が脳裏をよぎった。


私の中にあるはずのそれは、窓の外で風に晒されてるみたいに凍えている。


効きの悪い暖房は私を温めてくれなくて、冷えていく頭で静かに、どうしようもないことを考える。



もう1年、ここにいられたらいいのに。