「好き」 呟いた言葉は 夜の匂いに溶け 闇に塗りつぶされたかのように 形を失くして見えなくなった そのせいで あのひとの耳にも届かなかったみたいだ あのひとは振り返ることもなく 恐ろしいほど深い夜の黒に すっと同化していった