貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 それを伝えるべきは目の前のメイドではなく、あのふたりだ。わかっていても口にせずにはいられない。

 メイドもメイドで、ナディアを軽んじ嘲っていた。

 わざとらしい溜息をつくと、ナディアのほうへ足もとに散らばる藁を蹴る。

「ちょっと!」

「自分の立場、わかってんの? あんたはもう王子様の婚約者じゃなくて、蛮族への生贄なの」

「だからといってあなたがこんな真似をして許されると」

 言いかけたナディアに、メイドは嘲笑を向ける。

「今の婚約者様から許しをもらってんのよ」

 今の、と強調したのはナディアの立場をわからせるためである。

 それがわかっていたから、ナディアは唇を噛んだ。