貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ふっくらとやわらかな頬には興奮からか赤みが差し、ブルーグレーの瞳もきらきらと輝いている。なにも知らない者が見れば、かわいらしい動物でも見たのかと言いたくなるような愛らしい顔だ。

 ただしその口もとには抑えきれない歪んだ喜びが見え隠れしている。笑い出したくてたまらないが、今はまだその時ではないのだと自分に言い聞かせるようなぞっとする笑みだ。

 灰の塔へ送れと言った時も、実際に送られる時もコリンヌはナディアにその笑みを見せた。

 コリンヌが純粋で無垢な愛らしい女性だと、最初に言ったのはジャンだったか。

(ジャンはともかく、私は今までなにを見ていたのかしらね)