貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 これ以上ない名案を思いついたとでも言いたげだが、ナディアからすればたまったものではない。

 しかも、彼女はこの狂ったやり取りに強い既視感を覚えていた。

『いくらナディア様がひどいことをなさったからといって、すぐに処刑してしまうのはおかわいそうです。灰の塔で反省を促すというのはいかがでしょう? 陛下のお心に逆らう愚かさをちゃんと理解してくださると思うんです!』

 かつてのナディアはそれを、彼女が本心から言っているのだと思っていた。コリンヌと考え方が違うだけで悪意のない提案なのだ、と。

 だが、今世のナディアは彼女の表情をよく観察できる程度に冷静だった。