貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

(王妃の役割はただ伴侶の隣で微笑むだけではないわ。誰よりも近い場所で国王の補佐をするのよ。悪政を敷けばどんな忠臣よりも早く諫言し、善政を敷けば気が緩まないよう忠告するというもの。笑っているだけなら人形にもできる)

 急速に白けていくナディアは、過去に自分が言われた言葉を思い出していた。

 父がつけた教育係は、厳しくも正しい人だったと懐かしくなる。

 せっかくの教えもナディアが王妃にならないのであれば無駄になるが、ナディア自身の意思ではないのだから仕方がない。

「おふたりがよき為政者となるよう、北の地からお祈りいたしますわ」

 こんな愚かなふたりによって命を奪われたのだと唇を噛む。