貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 一度目の人生だって、ナディアの知らないところで彼は罪を問われる娘を信じ戦ったはずだ。

 それでも灰の塔で惨めな死を迎える結末は避けられなかった。

(死なないだけいいのよ。まだいくらでもやり直せる……はず)

 きっとそうはならないと思いながらも、ナディアは両親を抱き締めて目を閉じる。

 なぜか脳裏に浮かんだのは、自身が貢ぎ物として送られるエスタレイクの王、ゲルハルトの姿だった。



 それからしばらくも経たないうちにナディアは親もとを引き離された。