貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 古い貴族たちから疎まれ、王子自らが婚約者を貢ぎ物にしようと提案したのが理由で、最終的には強硬されてしまう。

 貴族たちからすれば目障りなリシャール子爵に嫌がらせができる上、自分たちの娘を守れるのだから願ってもない展開だったのだ。

 議会があった夜、リシャール一家は暖炉の前で話し合った。

「誰が相手であれ、娘を差し出してまで幸せになろうとは思わない。いっそ爵位を返上して貴族の身分を捨てたほうが」

「だめよ」

 衝撃で泣き崩れる母と、なんとしてでも家族を守ろうとする父にナディアは言った。

「私ならきっと大丈夫」