貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「所詮、獣でしょう。女をあてがってやれば満足するはずです」

「ですが、どこの娘を差し出すのです?」

 のちにナディアは、父からこの時のジャンの様子を聞いてあきれにあきれた。

「国の大事だ。婚約者であるナディア・ジエ・リシャールを差し出そう」

 議会の隅にてほとんど発言権を許されていない立場ではあったが、リシャール子爵は猛反対した。

 娘を生贄にされると知って黙っている親などいるはずもない。

 しかしもとから彼の獣人に対する寛容さから、悪く捉えすぎだと一蹴された。

 それでいて彼らは貢ぎ物という呼び方をやめない。