貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「私にできることがあればお申しつけください。取り急ぎ、私のほうで思いつく限りの案を用意してみました」

 エスタレイクとの会談を設けてはどうか、金銭の代わりに別の品をつける形で了承してもらうのはどうか、とナディアなりに頭をひねったにもかかわらず、ジャンの返答はこうだった。

「そうだ、貢ぎ物を贈ればいい! フアールの貴族の娘だといえば、蛮族も喜ぶだろう!」

「……は?」

 なぜそう斜め上の思考にいくのかとは言えなかったが、この愚かな考えはあっという間に貴族議会にも伝わった。

「たしかに蛮族に生贄……いや、失礼。貢ぎ物を贈るというのは悪くありませんな」