貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

(倍額以上の交渉なんて普通じゃない。お父様の言う通り、これまでが不当な価格だったというのは大きいけれど……それにしてもなぜかしら。私がゲルハルト様を怒らせたせいではないわよね?)

 そう考えてすぐにナディアは首を左右に振った。

 ジャンと違い、国政に私情を挟む王だとはとても思えない。

 そういえば、とナディアは眉根を寄せる。

(なにもかも変わりすぎて困るわ。二年後に国王陛下が亡くなる未来はどうなるのかしら。ジャンはいつ国王になる? コリンヌが公に姿を見せるのは? そもそも私の結婚の時期だって……。頭がおかしくなりそう!)

 限界を超えかけたナディアが廊下の壁に頭を打ちつける。