貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 それ以来、ナディアはゲルハルトの存在を頭から消しきれないまま、ジャンに贈り物を贈ったり、お茶に誘ったりと必死に媚びた。

「俺の婚約者は心が広くて助かるよ」

 十回以上誘ってようやくお茶会に現れたジャンは、ナディアにそう言った。

「結婚してからもそうしてもらえるとありがたい。君は君の、俺は俺のしたいように生きるのが一番だろ?」

 ナディアだってその言葉が善意ではなく、蔑みと嫌味だとわかっている。

 心が広いというのは、コリンヌの存在を知りながらも咎めず媚びるナディアへの哀れみ。

 結婚してからもそうしろというのは、コリンヌとの関係に口を出さずにいろという命令だ。