貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 だが、きっとそうはならない。

 未来が変わっても好転するどころか、悪化している。ジャンは前世よりもナディアを蔑ろにし、コリンヌに夢中になっているのだから。

(今からでもジャンの心を私に引きつけなくちゃいけない。でもどうやって?)

 悩むナディアは、ふた月前の夜会で言われたことを振り返る。

『愚かだな』

 呆れというよりは哀れみのこもった冷たい言葉が胸に刺さった。

(……私もそう思う)

 ああも自身を疎んじるジャンに尽くす必要があるのだろうか。

 そう思いながらも、どうすべきなのか答えは見つからない。