正妻のナディアがいればコリンヌは永遠に側室の立場に甘んじるしかなく、王の寵愛を受けていようと王族の末席に加えられない。
だから彼女の立場をたしかなものにしたいジャンと、彼になんの不安もなく愛される一生を送りたいコリンヌが〝邪魔者〟を排除しようとするのはありえない話ではない――が、ナディアはそんな自身の考えを何度も頭から振り払った。
自身の不幸を嘆き、他者に悪意を向ける行為は心まで惨めにさせる。
だからナディアはなにかの間違いだったのだ、誤解のせいでこうなったのだと自分に言い聞かせ、唯一残された矜持だけは保とうとしていた。
だから彼女の立場をたしかなものにしたいジャンと、彼になんの不安もなく愛される一生を送りたいコリンヌが〝邪魔者〟を排除しようとするのはありえない話ではない――が、ナディアはそんな自身の考えを何度も頭から振り払った。
自身の不幸を嘆き、他者に悪意を向ける行為は心まで惨めにさせる。
だからナディアはなにかの間違いだったのだ、誤解のせいでこうなったのだと自分に言い聞かせ、唯一残された矜持だけは保とうとしていた。

