貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 最初から子供はいなかったのだと話していたメイドは、気づけば城から姿を消していた。ナディアは最後まで真実を知ることなく生涯を終えたわけである。

(ああ、そう。そうなの。てっきり私と結婚する少し前からの関係なんだと思っていたわ。でも、それよりもずっとずっと以前から関係があったのね)

 ナディアの知る通りに未来が進むなら、結婚までにあと一年以上ある。いくら国王の決めた結婚とはいえ、婚約者となったナディアが名のある貴族ではなかったため、長期間にわたって議会が紛糾したためだ。

 声をかけるべきか、それとも見なかった振りをするべきか。