親密すぎる距離感で抱き合い、ささやくふたりはナディアの婚約者であるジャンと、かつて彼女から夫の愛情を奪った側室、コリンヌだった。
(取り込み中って、よりによってこのふたり……)
悲しみも怒りも湧いてこないのは、既に前世で彼らの愛し合う姿をまぶたに焼きつくほど見たからだ。
衝撃があるとすれば、まだコリンヌの存在がまったく公になっていなかったこの段階でふたりに接点があったという事実だろう。
一度目の人生でコリンヌが現れたのは、ナディアとジャンが結婚したその日の午後である。
『お腹に殿下の子供がいるんです』
(取り込み中って、よりによってこのふたり……)
悲しみも怒りも湧いてこないのは、既に前世で彼らの愛し合う姿をまぶたに焼きつくほど見たからだ。
衝撃があるとすれば、まだコリンヌの存在がまったく公になっていなかったこの段階でふたりに接点があったという事実だろう。
一度目の人生でコリンヌが現れたのは、ナディアとジャンが結婚したその日の午後である。
『お腹に殿下の子供がいるんです』

