(人間嫌いっていうだけあって、初対面の相手にも容赦ないわね。礼儀もなにも知らない、さすが蛮族だわ)
ナディアのほうこそ不快感を抱えてその場を辞去する。
来た道とは別の方向へ立ち去ろうとした彼女の背中に、再びゲルハルトが声をかけた。
「その先は取り込み中のようだが」
「ご忠告痛み入ります。ですが、お気遣いなく」
さすがに失礼かと思うも、先に無礼を働いたのはゲルハルトのほうだと考え直す。
気に食わないのなら放っておけばよいのに、と彼の忠告を無視してその場を離れ、しばらく歩いた。
おそらくは夏の区画と思われる生垣の角を曲がった時、ふと人の気配を感じ取る。

