貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ゲルハルトが唸るように言ったのを聞き、ナディアは元王妃としての社交術を発揮した。

「ご不快な思いをさせて申し訳ありません。本日の夜会の主催者には私のほうからお伝えいたしましょう」

 あくまで笑みを浮かべたまま優雅に礼をする。

「それでは、私はこちらで失礼いたします」

 目上の者といる時、基本的には許しがあるまでそばに控えるものだ。

 しかし面倒な相手には近づくなというのが彼女の学んだ社交術である。正しいかどうかは別として、前世はこれで乗り切った。

 もう少しその感覚を磨いていれば、あんな終わりを迎えなかったかもしれないとは考えないようにする。後悔ならば、もう充分すぎるほどした。