「人間の、だろう? また教師を招いたほうがいいかもしれないな」

「前の先生にしてほしいわ。厳しかったけど、すごく親切でわかりやすかったの」

「わかった。本人に伝えておこう」

 ひそやかな口づけを繰り返すうち、ふたりの口数は少なくなっていった。

 代わりに衣擦れが響き、乱れた呼吸が合間に落ちる。

 幸せな人生はまだ始まったばかりだった。