貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 アウグストの手の込んだ料理を与えてはまったく罰にならないからだ。

「また、フアールにて妙な病が流行っているそうです。それもあってすぐにご子息を帰したくないという思いがあったのでしょうね」

 エセルの報告を聞き、ナディアはあっと声をあげた。

「ひどい熱と咳に襲われるあれかしら……?」

 およそ二年後、その病が長引いたためにフアール王は命を落とす。

 流行の発生は前世よりも早いが、ナディアには覚えがあった。

「実際にどういった病かの詳細はまだわかりませんが、どのようなものかご存知ですか?」

「もしかしたら、だけど。この国で流行った病に似ていて──」

 言いかけて、口を閉ざす。