貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「私はなにもしなかったわ。……なにもしなかったから、あんなふうに終わった」

 『なにかをした』から今を迎えたのだ。

 不思議と復讐の瞬間を迎えてもナディアはうれしくなかった。

 そもそも彼女は一度も復讐を望んでいない。

 不当に命を奪われず、幸せに生きていたかっただけ。

「二度も私を不幸に追いやれると思わないで」

 言い切ったナディアの肩を、歩み寄ったゲルハルトが優しく抱く。

「おまえたちには聞くべきことが多そうだ。──連れて行け」

「はっ」

 騎士たちがコリンヌを強引に立たせ、呆然とするジャンを引きずって広間を出て行く。