貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 たしかにぼや騒ぎのせいで獣人たちは奔走した。

 妙な事件が起きたからこそ、城の異変にも敏感に反応できたのだ。

「どの品にも持ち主の匂いが染みついている。そしてそれに触れたものの匂いも」

 そういえばと人々は手もとに返ってきた私物を見つめた。

 彼らはどれが自分のものであると話していない。

 しかし、獣人たちはそれぞれの持ち物を正しい持ち主のもとへ返した。

「すべての品にあなたの──おまえと、おまえの妻の匂いがついているのはどういう理由だ?」

 ゲルハルトが低く唸る。

 一連の様子を見守っていたナディアは小さく息を呑んだ。

 今度はジャンとコリンヌの顔から色が消える。