貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「こんなにいろいろとものが失くなったのは、手癖の悪い獣人のせいじゃないのか?」

 しんと静まり返った中で、ジャンが煽るように言う。

 蛮族という言葉を使わなかったのは、あくまでゲルハルト側を悪に仕立てたかったからだろう。

「国に戻ったら厳重に抗議させてもらうぞ。もっとも、本当に国に帰してもらえるかは怪しいな。このまま俺たちを口封じに殺そうと思っていてもおかしくないんだから」

 ジャンの隣でコリンヌがやわらかく微笑む。

 その内に秘めるどろどろとした悪意を知らなければ、可憐でかわいらしい笑みだと誰もが思うに違いない。