貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 はたから見ていた者はなぜ、彼女が耳まで真っ赤にしながらゲルハルトを押しのけたのかわからなかった。



 事件はその夜に起きた。

 別邸を出てすぐそばにある庭園でぼや騒ぎが起きたのだ。

「既に消火は済んでおります。見張りの騎士を増員しておいて正解でしたね」

 エセルから報告を受けたゲルハルトのそばには、寝間着姿のナディアがいる。

 こんな姿で異性の前に出るべきではないが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

「自然発生したもの……なの?」

 彼女の声は震えていた。

「あんな場所に火が出るはずないわ。だとしたら」