貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 誰も貶めないやり方は、正反対の手段で他者を虐げるジャンにとって苦いものに映っただろう。

「ここまで長かったわ。でも、あなたに出会えてよかった」

 二度目の生を受けたナディアは、悲惨な死を迎えないためにジャンにすがろうとした。

 そうして抗い、行動を変えた先でゲルハルトに出会ったから今がある。

「三度目の人生があったとしても、またあなたに会いに行くわね」

「その時は俺のほうからおまえを探しに行く」

 ゲルハルトの唇がナディアの耳を飾るあのピアスをかすめた。

「もう匂いは覚えたからな」

 低いささやきを聞いたのはナディアだけだ。